チェーンソー

フランス産スプラッターの有名どころである「ハイテンション」(2003年)
ベリーショートの女性がチェーンソーを持っているジャケットが印象的な作品です。タイトルの割には淡々としたスプラッターですが残酷さは上物。

 

また、予想できないまさかすぎるオチに騙された視聴者も多いのではないでしょうか?今回はそんなハイテンションの解説と感想を書いていきたいと思います。まだ見てない方はネタバレにご注意くださいね。

 

【衝撃的すぎる殺人鬼の正体】

本作を全部ご覧になった方はわかると思いますが、登場する殺人鬼=主人公マリーです。正体がわかった時のエエ~!?お前~!?的展開のラスト15分には驚かされた方が大半だと思います(実際私も騙された人間なので…)

 

殺人鬼の男はマリーが持つ人格のひとつであり、実際にガタイが良くて作業着を着たおっさんは存在しません。このおっさんはあくまでマリーが作り上げた架空の人物。基本的にこのおっさんがしていることが、現実でマリーがしている行動というわけなのですね。

 

おそらくアレックス家に着いてタバコを吸いに外へ出たあと、あらかじめ用意していたトラックに乗り込んで戻ってきたものと思われます。なので部屋に戻り音楽を聞きながらちょっとエッチなことをしているシーンはマリーの妄想のひとつ。

実際にはしていないのですが、シャワーを浴びているアレックスを見てからの行動なので「マリーはレズビアンで、アレックスのことは友人以上に好いている」という伏線をちらつかせるためのものでしょう。

 

まあ、こんなわかりづらいヒントでわかってしまう人はメチャクチャ鋭いので探偵になった方がいいと思います。

 

 

じゃあ冒頭で女の生首を持っていた殺人鬼は…?という感じではありますが、アレは「※あくまでイメージです」的なものなのではないでしょうか。

 

これから出てくる殺人鬼はこれぐらい非道で残虐であることをイメージ付け、あらかじめこれを見せておくことで実はマリー自身が殺人鬼だという真実から遠ざけることが目的なのかな~と。でもトラックの中の写真を見るとアレックス以外の女性も狙ってた感があるので、被害者の中で生首にされてしまった女性はいたのかもしれません。

 

冒頭でちらっと出してある伏線は以下の通り。

冒頭で出た伏線

  • 夢を見ていたマリーが「私が私を追いかけていた」発言(殺人鬼=マリーであることをほのめかしている)
  • 車の中でマリーが言う「普通は嫌い」(普通どころじゃなかったんですけども)
  • カウボーイの格好でおもちゃの銃を振り回してる弟・トム(後に殺人鬼に銃で撃たれる)
  • アレックスに男を作りなよ、と言われるもごまかすマリー(女の方が好きなので)

 

また、冒頭で「録音して」という声から始まったところから本編は「マリーの自供」を映像にしたものと考えられます。

 

なのでほとんどが「殺人鬼人格のマリー」ではなく「主人格のマリー」の目線(妄想)で語られた内容のため、多々ある矛盾点はマリーの都合のいいように省られているわけですね。

 

だから私たちが「ん?」と思う場面もマリーの妄想のうちなのでご愛嬌ということで。ただ包丁に関してはちょっとわからないですね…車の運転をしているのは殺人鬼もといマリーなので、本当は車の後ろにマリーはいなかったということならアレックスはどこで包丁を手に入れたのか。

 

解放されたあとでマリーに刺してるところを見ると包丁自体は妄想の産物ではないだろうし…。それと刺される前よりマリーがボロボロなのもどうしてなのだろうと(現実では誰ともやり合ってはいないはず)とまあもやもやするところはありますが、この設定を楽しむ上でこれらはあまり深く考えてはいけないのかもしれませんね(笑)

 

ちなみにこれは個人的な解釈なのですが、マリーの髪型がベリーショートでボーイッシュなのもマリーの中に男がいる、ということへの伏線のひとつなのかと思っています。

 

 

【全体の評価と感想】

チェーンソー

スプラッターの有名どころである「SAW」や「ホステル」などに比べるとスプラッター独特の理不尽さはちょっと少なめ。被害者が少ないからかな?ですが棚ギロチンの斬新さは本作で一番印象に残るシーンです。でもグロさ的な意味では最初がクライマックス。

 

というか重そうな棚をズサーッと動かしたり、拘束したアレックスを抱えたりと意外と怪力なマリー。妄想のうちでは棚を動かすのもやっとみたいな感じだったのに…???

 

チェーンソーだって軽くはないだろうに持ちながら走ったり振り回したり…そういえば本編を見る前と後だとジャケットの印象変わりますよね。チェーンソーを持ってるマリーって正直ネタバレですよ。マリーの後ろに殺人鬼の影があるのもネタバレですよ。ネタバレジャケットですよ。でも本編見る前に見てもわからないんだからスゴい。

 

ですがやはり設定のために矛盾が見え隠れするのと、マリーが一家を殺すに至ったきっかけなどがちゃんと描かれてないので、ストーリーだけで見るとお世辞にもメッチャおもしろかった~!とはなりませんね。

かといってスプラッターがメインというのであればもっと派手に散らかしても良かったのかな、と。出血量自体は多い方だと思いますが。

 

なんというかやってることの割に怪我や死体の顔が綺麗なんですよね…だからあまりグログロしくないのかも。初心者向けグロって感じ。とはいえ耐性がない方かみれば立派にスプラッターしてるとは思います。

 

あと個人的に本作で一番緊張感あって良かったのは、家の中に入ってきた殺人鬼から身を隠すためにマリーがベッドを整えたり、水道周りを拭いたり、シャワーカーテンをいじったりするところですね。特に水道周り。リアルさがありました。

 

確かに水滴がついてたらさっきまで使ってたのすぐバレちゃいますもんね…と感心すると同時に普通はそこまで気が回らないだろうから「殺人鬼ならではの着眼点」というのもあるのかと思います。

 

マリーの主人格はまともでも実際は男と同一なわけですし。このシーンを見て私は万が一殺人鬼が家に入ってきた場合水回りを拭いておこうと心に誓いました。ホラー映画から学ぶ緊急時の知恵。一生使い時がこないことを願います。

 

【まとめ】

いわゆるどんでん返し系映画の「ハイテンション」ストーリー自体はちょっと難ありですが、マリーと殺人鬼の追いかけっこの緊迫感はなかなか見物。

 

スプラッター映画を見てみたいけど最初から過激すぎるのはちょっと…な方のグロ入門にもいいかもしれません。同じフランス産スプラッターの「マーターズ」や「屋敷女」と併せて見るのもオススメです。