海

 

 

 

泳げない人を「かなづち」といいますが、これはかなづちを水に入れると速攻で沈んでいくことからきている言葉です。

かなづち泳げない人が水中に入れば、しばらくもがいた後で、力尽きて沈んでいきますよね。

 

泳げる人だったとしても、足がつかない場所で孤立無援の状態で足をつれば泳げなくなり、その時だけ「かなづち」のような状態になります。

 

しかしダイビングにおいては、浮力を与えてくれるBCDやフィンのおかげでかなづちの人でも海の中を楽しむことができます。

 

むしろかなづちのひとはダイビングの際、「フィンなしでは泳げない」ということよりも、「なぜか潜行できない」という悩みを抱えることのほうが多いように感じます。

 

なので今回は、そんな泳げない、潜れないといった悩みを少しでも解消できるようにその方法をご紹介していきたいと思います。

 

では、見出しからどうぞ♪

 

泳げない場合

泳げない

「泳げない場合、ダイビングはできないんですか?」という質問があります。

 

これはまったくそんなことはなく、最低限、スクーバ器材をつければ水中に入ることに抵抗はありませんという人であればライセンスを取ることはできます。

 

その後のファンダイビングやSP、MSDなど、ある程度のレベルであれば泳げない人でも問題はほとんどないといっていいでしょう。

 

ダイビングで、泳げないということが問題になってくるのは主に以下のような状況のときです。

1:プロ(ダイブマスター(DM))以上になりたいとき
2:ドリフトダイビングや、その他の難易度の高いダイビングをするとき
3:事故で漂流したとき

 

では、それぞれについて見ていきましょう。

 

ダイブマスター以上になりたいとき

AOWやEFR、REDコースなどを修了した後は、いよいよプロ資格であるダイブマスターコースに入ることができるようになります。

 

しかしこの時に、水着しか着ていない状態での15分以上の立ち泳ぎや、数100Mの水泳、フィンをつけた状態での水泳など、体力的にきつくなることの多い泳力テストが必須となります。

 

「泳げない人はダイビングはできない」というのはここからのことを示すもので、つまりガイドやインストラクターにはなれないということを意味しています。

 

ダイブマスターになればガイドができるようになり、インストラクターになれば各種講習を実施することができるようになります。

 

なのでこの点に関しては、ダイビングを仕事にしたい場合は泳げないのを克服する必要があり、そうでない場合はべつにわざわざ泳げるようになる必要はないといえます。

 

ドリフトダイビングなど難度の高いダイビングのとき

ドリフトダイビングは波に乗って移動するダイビングで、普通のダイビングよりも自然の力で動けるために疲れにくく、また変わった楽しさを味わえるダイビングです。

 

ただしそのぶん、エントリーとエキジットの時間を厳密に決められていたり自分でも確認しつつ潜らないといけないこともあります。(流れすぎるとロストしたりして危険)

 

また、一部の上級者用スポットではその難易度の高さから「軍隊ダイビング」といわれるほど船主さんたちは厳しく、少しでもジャイアントエントリーのタイミングが遅れればその1本は(危険を避けるため)潜らせてもらえなくなったりします。

 

海のなかでも、メンテナンスの行き届いたレギュレータが勢いに負けてフリーフローしたりするほど強烈な流れに襲われることがあります。

 

そうなると、パッとフィンが脱げてしまい一瞬で流されて消えていってしまうこともあります。

 

フィンが両方ともなくなれば、ダイブマスターやコースディレクターだろうがインストラクターエグザミナーだろうが、水中で泳ぐことは完全に不可能となります。

 

両方ともすっぽ抜けてしまうことは極めてまれで、片方だけ脱げたのであればうまい人はそれだけで危機を脱出することもできますが、泳げない人が片方だけでもフィンをなくしてしまえば、いつものように泳ぐことができなくなりパニックに陥る可能性が増大します。

 

まさに「かなづちに戻る」といった状態です。

 

 

なので泳げないという人はそういった危険を避ける意味でも、ドリフトダイビングやそうでなくても強い波( アップカレント や ダウンカレント )が発生するポイントでは潜らない方がいいかもしれません。

 

普通のダイビングであったとしても、フィンはしっかりはめておくことが大切です。

 

他の器材に関してもそうですが、ダイビングは100%を器材に依存するスポーツなため、全てを完璧にメンテナンスし、完全に問題のない状態で使用しなければ次から次に(大小さまざまな)問題が起こります。

 

事故で漂流したとき

数年前に、海外でダイビングをしていた人たちが天候の急変による海の大荒れで漂流してしまい、インストラクターを含む数人が亡くなってしまうという痛ましい事故がありました。

 

これはフィンが脱げたわけではありませんが、海が大荒れのときは、スクーバ器材を背負っていたとしても命の保証は限りなく少ないことを意味しています。

 

まず、残圧が許すうちはレギュレータをくわえて呼吸し続けることになりますが、いずれ尽きてしまいます。

 

そうなった時、シュノーケルの有無が生存を左右します。

 

シュノーケルがなければそのまま(BCDで十分な浮力を確保していたとしても)打ち付ける波によって溺れるか、衰弱するか、塩水を大量に飲むことによる脱水症状で死亡してしまいます。

 

たとえシュノーケルがあり、器用に塩水を飲まずに呼吸を続けられていたとしても、ずっと漂流していれば低体温症(ハイポサーミア)に陥り命にかかわってきます。

 

ここで生死を分けるのが泳力で、自力で小島や陸にたどり着くことができれば生還の可能性が大きく高まります。

 

ただし泳げない場合は漂流しバディと離れ離れになっただけでパニックに陥る可能性が高まるので、いずれにせよ泳げる人と比べて危険度は増します。

 

 

以上の3点から、ダイビングをする上では泳げた方が幅広い楽しみ方ができること、安全度が増すことなどの利点があります。

 

また、初めてのスポットや海外に行くときはそのポイントの注意点やその他の詳細も、ガイド(イントラ)にブリーフィングで教えてもらうといいでしょう。

 

潜れない場合

「泳げないかなづちだけど、潜ることもできない」という、ある意味逆説的な人がたまにいます。

 

また、「泳げるのに潜れない」という人もいます。(私が昔はそうでした)

 

この場合は両方とも原因は似通っています。

 

 

ダイビングではマイナス浮力でないと潜ることができないので、ここで潜れない人は以下のような原因が考えられます。

1:BCDやドライスーツにエアが残っている
2:ウェイトが足りていない
3:肺の中の空気を吐ききっていない
4:スーツの着方が間違っている

BCDやドライスーツから空気を抜ききる

BCDドライスーツ

 

基本的に、ウェットスーツを着ている時はBCDで浮力調整を行い、ドライスーツを着ている時はドライスーツで浮力調整をします。

 

ウェットスーツ着用時のことはともかく、ドライスーツを着ている時にBCDでなくドライで浮力調整をするのは、寒さ対策や水圧による圧迫を防ぐためにドライスーツに給気することになるからです。

 

 

ただ潜行時は、両方ともに空気が残っている可能性があるため、潜れるようになるまで両方から排気する必要があります。

 

このとき、空気がうまく排出できないという人は、排気口がしっかり上を向いていなかったり故障しているという可能性があります。

 

 

故障はもうどうしようもないかもしれませんが、前者が考えられる際にはBCDのインフレ―タホース(またはドライスーツの排気バルブ)をしっかりと掲げて上に向けましょう。

 

回数を重ねていくうちに排気にもなれるようになり、潜れなかったのがスムーズに潜ることができるようになります♬

 

十分なウェイトを装着する

ウェイトが少ないことによっても、潜れなくなることがあります。

 

シリンダーの材質によっても、ウェイトの必要総重量が1~2kgほど上下することがあるので、あるスポットで使ったのがどの材質のシリンダーなのかを常にログブックに書いておくようにしましょう。

 

その材質はアルミかスチールに分かれ、多くのスポットではスチールが採用されています。

 

そのノリでアルミのシリンダーを採用しているダイビングスポットに行ってしまうと、アルミはスチールよりも軽いためプラス浮力になってしまいなかなか潜ることができなくなってしまうものです。

 

また、シリンダーの大きさも違うため、スチールにぴったりのサイズにしてあるBCDを持っていくとアルミのシリンダーにとってゆるゆるになりすぎてしまい、そのまま潜れば途中でBCDからシリンダーがすっぽ抜けて口からもレギュレータがすっぽ抜けていろいろな意味で大惨事となります。

 

 

こういったことからも、ダイビングをする際には自分の適性ウェイトを知っておき、装備や場所に応じた対応をしなくてはいけません。

 

また、ダイビング後半にはシリンダーの中の空気が減ることでエントリー時よりも浮力がプラス側に傾いており、浮上してしまいやすくなります。

 

こうなると安全停止もできないので、やはりウェイトは潜る時はある程度マイナス浮力であった方がいいでしょう。(多くの場合、イントラが予備のウェイトを携行してくれています)

 

肺の中の空気を吐ききる

水面でBCDから完全に排気した状態で普通に息を吸い、止め、水面が目の位置に来ており、ハアァーと吐いていけば沈んでいける。

 

こんな状態であれば適性ウェイトだよ。だから毎回ダイビングの前に確認しようね。と教科書にはあります。(誰もやっていないでしょうが)

 

これは潜行の手順としても正しいもので、基本的に(適性ウェイトであるのを前提とすれば)このようにしなければ潜っていくことができません。

 

なので、もしあなたが潜るのに難儀しているというのであれば、肺の中の空気を一度吐ききってみるのをお勧めします。

 

そして吐ききった状態で沈んでいければそのまま沈んでしまいある程度の深さに達したら呼吸を再開します。(基本的にダイビングで呼吸を止めていいのはこの潜行時だけです)

 

これは潜れない時に最初に試してみて、それでも無理そうであれば他の選択肢を考えてみるといいでしょう。

 

ダイビングでは適性ウェイトが前提とされていますが、エキジットや安全停止のことを考えれば、少しくらいマイナス浮力であった方がよく、そうすれば息を吐くまでもなくBCDやドライから排気するだけで沈んでいくことができます。

 

スーツや小物をちゃんと装着する

これは私の昔の実体験なのですが、器材の装着に不備があるために浮力が発生してしまい、全然潜れないということがあります。

 

たとえば私の場合、ウェットスーツを着るときにブーツの吐き方を間違えてしまったため、ブーツとウェットスーツとの間に空気がたんまりたまる履き方をしてしまい、気付かずにプラス浮力に悩まされていました。

 

また、排気口が壊れたドライスーツを着用していたために排気できず、最初から最後までずっと浮力に悩まされたりもしました。

 

ウェイトベルトのポーチの中にウェイトを入れるのも雑で、体に重さがしっかりかかっておらず、そのせいでやはり困っていました。

 

 

これら3つの要素が加わり、一時期はドライスーツを着るときに13kgものウェイトを装着していたことがあります(しかもそれでもプラス浮力)。

 

13kgはふつうではありえず、まさにかなづちばりのスピードで沈んでいけるようなはずなのですが、空気の力というのは偉大で、まったく潜れなかったのを覚えています。

(そんな時に水中でのウェイト脱着をやったので、水中で息切れしながら逆立ち状態になったり重すぎて腕を釣りそうになったり大惨事でした)

 

上記のように、ダイビングは命の100%を器材に委ねるスポーツです。なので道具類はすべてしっかりと使いましょう。

 

潜る前のチェックでコツを確認

チェック

今まで、いくつか泳げなかったり潜れなかったりする場合の危険性と対処法を見てきましたが、ダイビングの前には必ずブリーフィングというものを行います。

 

これはそのポイントの見どころやダイブの目標、注意事項の説明やトラブル時の対応を伝えるものです。

 

この時に、心配事(泳げない・潜れない)があればイントラさん(ガイドさん)に伝え、コツを教えてもらっておきましょう。

 

またはウェイトを増やしてもらうように頼んだり、もしくは予備ウェイトの傾向を頼んでおいてもいいかと思います。

 

イントラ側にとってはあなたの身の安全こそが最優先で第一なので、お互いにその日のダイブを楽しんで何事もなく終えるためにも、ぜひブリーフィングのときでも後でも、心配事や疑問は払拭しておくようにしましょう。

 

(事故を起こしてしまったイントラは詳しい調査を受け、過失がなければ指導団体からペナルティは受けませんが、あればイントラ資格を永久に剥奪されます。また、そういった規準は非常に厳しく、ほとんどのイントラが順守できていません。なので事故を起こしてしまった際には高い確率で仕事を失うということにもなるのです)

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

泳げない人の場合でも、趣味としての難易度の低いダイビングは問題なくすることができます。

 

しかし仕事にしようとしたり高い難易度のダイビングをしようとする場合、泳げない人には無理ということにもなります。

 

 

潜れない場合はいくつか原因があるので、それら一つ一つを潰していきましょう。

 

最初のライセンスを取得するときは「適性ウェイト」を習いますが、エキジットする頃にはシリンダーの中の高圧ガスが減っていることからプラス浮力になってしまいがちです。

 

そうなると安全停止もしにくくなり、へたをすると浮上してしまって減圧症になることもありえるので注意が必要です。

 

なんなら少しくらい1~2kgくらいマイナス浮力の状態で潜行してもいいでしょう。

 

 

もしダイビングが始まる前に心配や疑問があれば、それはお互いのためにも事前にイントラさんやガイドさんに伝えて払拭しておくことを勧めます。

 

ダイビングは100%を器材に頼るものです。

 

いざ器材が機能しなくなれば一気にパニックに陥る可能性もあるので、その点も万全の態勢でダイビングに臨みましょう。

 

 

では、ここまでありがとうございました。

 

今は泳げない人も、今は潜れない人も、楽しく安全にダイビングをしていけるようにお祈りしています♬