不気味な手

PC/PS4/Xbox One/ニンテンドースイッチ用の新作ホラーゲーム「Maid of Sker」が発表されました。

 

今回は「Maid of Sker」について現在わかっているゲームシステムや、作品の元ネタになったイギリスの歴史的建造物、民間伝承、元ネタになった小説などについて見ていきたいと思います。

 

ゲーム「Maid of Sker」は、いろいろな作品の影響を受けたうえで作られており、どれか1作品が強烈に影響しているわけではないようです。

 

なのであまり怖い伝承や元ネタはありませんが、見ていってみましょう。

 

 

どんなゲーム?

現在のところ、1人称ステルスサバイバルホラーであるとされています。

 

敵は聴覚を頼りにしてこちらを発見し、襲ってくるようです。

 

操作キャラクターの主な選択肢は「隠れる、逃げる、ひっそり歩く、罠を使う、注意をそらす」といったことらしく、ときには立ち止まって息すらも止めてやり過ごさなければいけなくなるそうです。

 

なのでもしかしたら、息を我慢しきれなくなって思い切り息を吸う→感知されて襲われる、なんて場面もあるかもしれません。

 

敵は「Quiet Men」と呼ばれる存在だとはっきりしており、複数が襲ってくるようです。

 

また、マルチエンディングが採用されているらしく、いくつもの選択肢がプレイヤーを悩ませてくれるとのことです。

 

 

タイトルの意味

maidはメイドですが、skerは辞書に載っていません。

 

どうもイギリスの地名らしく、実際にsker houseといういわくつきの建造物がイギリスにあり、それを元ネタにしているようです。

 

Sker Houseの歴史(建築)

(ここから実話です)

Sker Houseは、イギリス、ウォールズにある歴史的建造物です。

 

もともとはシトー修道会の農場として900年以上前に建てられたものですが、16世紀後半に全面改築を施され、新築時の面影はなくしています。

 

農場近くに建てられたこともあり、宿泊用の部屋をかねそなえた作りになっています。

そして、Sker Houseが有名になったのは、R.D.Blackmore氏の本「The Maid of Sker」が世に出てからでした。

 

歴史2

Sker Houseはそこで修業する修道士のために農場と宿泊機能を併せ持った建物です。

 

中世の時代の面影はあまり残っていませんが、それを残した一部の建物が、近くの巨大な礼拝堂の一部として残っています。

 

1543年に修道院が解散され、修道士たちが散り散りになっていったことにより、施設はリチャード・ウィリアムズ、そしてその次にクリストファー・タ―ヴァビルによって購入されていくことになります。

 

もともと、Sker Houseは1階しかありませんでしたが、16世紀後半の持ち主、ジェンキン・タ―ヴァビルによって増築されてしまい、残ったオリジナルの部分はレイアウトだけになってしまったのでした。

 

今ではSker Houseは老朽化が進み不気味な雰囲気を醸し出す、3階建ての屋根裏部屋付き建物になっています。

 

東の翼壁には左右対称の巨大な塔が建っており、そこにはすべての階を行き来できる扉と通路があります。

 

西の翼壁にはもっと多くの、乱雑に設置された小塔があり、そのうちの一つにはすべての部屋に出入りすることができる階段が設置されています。

 

一階にある大広間は二階にまで拡張されています。

そこはもともと、宿泊用の部屋があったところでした。

 

Sker houseとエリザベス

sker houseにはエリザベス・ウィリアムズ(1943)という女性も住んでいました。

 

彼女は音楽家でもあり大工でもあるトーマス・エヴァンズと恋に落ちますが、身分の違いにより結婚を親から反対されてしまい、その恋を諦めることになります。

 

その後、アイルランドでカトリックとプロテスタントの対立による内乱が起こるのを防ぐため、「平和のための女性運動」を起こし、大規模な女性運動グループを作り上げて内乱を阻止します。

 

この動きはイギリスにまで伝わり、彼女はノルウェー国民平和賞、ノーベル平和賞を受賞することになります。

 

しかし、共同受賞者がいながらその賞金をほぼすべて私有化するなどといった問題をさらしてしまい、大きな論争を呼んだのでした。

 

Sker houseの苦難

一時期は修道院として、そしてその後も代が変わりそれなりに華々しい歴史をたどってきたSker Houseでしたが、タ―ヴァビルが所有権を手放した後、留守にしがちな地主に所有されることになってしまいます。

 

そして彼はなぜかその建物を人に貸すことをやめ、話が来ても断るようになります。

 

それは彼の死後も続き、1940年以降のある日、長らく放棄されていた南の翼壁がとうとう崩壊します。

 

そして1999年の3月31日から2003年の7月にかけて、建物は重大な修復工事を施されます。

 

1999年になって建物が管財人の管理下に入るまで、修復にあまりにも多額の資金が必要あることから、建物は長い間崩れ落ちていながらもみてみぬ振りされていたのでした。

 

そして2003年の修復工事完了のあとは、イギリスの歴史家であるニアル・ファーグソンに購入され、黄色にしっくいを塗られたうえで、不毛の大地と海を背景にひっそりと佇んでいます。

Sker House

 

民間伝承

Sker Houseには2体の怨霊が出没するといわれています。

 

それは、Skerの地の近くで難破した船の船長と、エリザベス・ウィリアムズであるとされています。

 

エリザベスは上述のとおり、父親に恋を邪魔されてしまった女性でした。

 

父親は彼女が男と駆け落ちするのを防ぐため、彼女をSker Houseの一室に閉じ込めます。

 

彼女はそんな不遇に置かれ、肉体は生き残ったものの、心はその部屋で死んでしまい、それがSker Houseに出没するとされています。

 

Sker Houseを有名にしたスリラー小説

長らく放棄され、住んでいた人(主にエリザベスなど)に不幸をもたらしたSker Houseでしたが、オカルトチックに認識されるようになったのは1955年にロナルド・ウェルチが書いた「Sker House」というスリラー小説が人気を博してからでした。

 

以下、プロットです。

アンソニー・フィジェラルドは、ロンドンのどこかの工場の風呂場で、洗面台に鎖でつながれた状態で目を覚まします。

そして、どうしてそうなったのかという記憶は全くありません。

ほかにも囚われた人はおり、デイビッド・ブラックウェルという人物と知り合います。
彼も同じ状況なようで、自分のおかれた状態を理解できず困惑しています。

実は二人は両方とも犯罪者で、アンソニーはウェールズの不法目的侵入罪の代表のようなギャングで、デイビッドはウェールズの盗品買受人でした。

そして二人とも、もともとはカーディフという町で盗んだ高価なダイヤモンドを換金するために会う約束をしていた間柄でした。

しかし目を覚ますと、お金もネックレスもなくなっています。
二人はそれらを盗んだ何者かを口汚く罵りまくった後で、二人で協力してこの事態を仕組んだ人物を発見しなければいけないと理解します。

二人はお互いの尊敬するボスに電話して事情を話します(アンソニーの場合、相手は兄のアラン)が、二人とも、お金ないしはネックレスを取り戻さなければ血を見ることになると警告されてしまいます。

二人はまず、ここ数日の記憶をたどることにします。
二人の共通の最後の記憶は、換金のために酒屋で会ったことでした。

二人は酒屋に行き、女性店員を脅して、金を払われたので二人の飲み物に睡眠薬を混ぜたことを自白させます。
その女性は、二人の友達の質の悪いジョークに付き合わされているだけだと勘違いして睡眠薬を混ぜたのでした。

彼女は二人に、そんな命令をした男の特徴を、「隻眼の、鉄道のユニフォームを着た、ウェールズのアクセントが強い男」だったと告げます。

二人は駅に行きますが、特に大きな収穫は得られません。しかしある鉄道警備の男性が、その男はさっきまでそこにいて、二人に気付いたら血相を変えてペンザンス行きの寝台列車に乗り込んだと教えてくれます。

二人は同じく、発進している電車に飛び移って男を捜索します。

そして車両の最後列で、戦闘が起こります。警備員は倒れて電車から半分落ちかけているブラックウェルに撃たれます。
二人は扉に倒れかかる警備員に銃口を突きつけ、金と宝石の隠し場所を吐くように脅します。

警備員はアンソニーの馬鹿さ加減をあざ笑いながらも言われたとおりにし、ついでに黒幕に繋がる電話番号も吐きます。
しかしそれはなぜか、アンソニーの兄が住む地域の近くに繋がる電話番号でした。
二人は情報を得ると、警備員を高速で走る列車から蹴り落とします。
↓↓↓
二人は電話番号の地域に行くと、警備員の声色を真似て、電話相手に問題が発生したことを伝えます。

電話相手は二人に、Sker Houseの近くにあるギャングの司令部に来いと告げます。

二人は司令部に行きますが、なぜか建物はもぬけの殻です。
なんとか人と出会えたと思ったらそれはアンソニーの兄、アランで、しかも二人に銃口を突きつけてきます。

アランは金庫を開け、金とネックレスを二人に見せます。

すべては、ギャングの組織内で力をつけすぎていたアンソニーを粛正するための、アランの罠だったのです。

アランは二人を撃とうとしますが、アンソニーが突貫、肩を撃たれながらも銃をはき落とし、アランはデイビッドに射殺されます。

これで一件落着かと思いきや、「傷は致命傷ではない」と告げるアンソニーを、デイビッドは「それが問題なんだ」といって射殺し、口笛を吹きながら屋敷から去ります。

 

といった内容の小説です。

 

アンソニーとデイビッドが、アランの罠にかかる

アランが本性を表すも、二人で倒す

一件落着かと思いきや、デイビッドがさらに本性を表し、アンソニーを撃って漁夫の利を得る

 

 

といったスリラーです。

 

wikipediaを翻訳したものなので細部はわかりませんが、Sker Houseのうわさを広めたのはこの小説でした。

 

Sker Houseを題材にした小説2

Sker houseやエリザベスは、いくつかの小説の題材になっており、それらが融合してゲームの物語を恐ろしいものにしています。

 

最後にもう一つ、Sker Houseが題材になった小説をご紹介します。

タイトルは「The Maid of Sker」。ゲームと同じタイトルです。

 

R.D.Blackmoreによって1872年に出版されたこの本は、18世紀後半を舞台にしています。

Glamorganshireの海岸に流れ着いた捨て子の謎を明らかにしたミステリー小説で、作中では猟師であるダービーが語り手となっています。

 

以下、ストーリーのプロットです。

 

嵐の前の静けさで静まりかえる海岸に、2歳の女の子がボートに乗った状態で流れ着きます。

彼女は自分のことをバーディーと名乗り、ダービーはボートを預かったうえで彼女を保護することにします。

ダービーは彼女をよくできたメイドとして隣人に貸したりしますが、彼女が育つにつれ、溺愛するようになっていきます。

そして同時に、彼女の運命を心配するようになっていきます。彼女の上品さや出会いの異常さを考えれば、彼女が普通の女の子でないことは明白でした。彼女が誰かと密接な関係にある(なってしまう)のではないかと危惧します。

ダービーはいくつかの町と契約を持っている猟師船の乗組員になります。そして偶然、maid of skerの謎を解くヒントを持つ人物と出会います。
その中には、孫が二人も失踪してしまい、今までその子たちを探し続けているフィリップという男性がいます。↓

ほかにも、パーソン・コウンという、北デボンで悪魔を崇拝し、神や法、人類を否定することに生涯を費やしている狂人もいます。
そしてドレイク船長は、兄の子供たちを誘拐して財産を奪った容疑のかかっている人物です。

ダービーは彼らの手を借りつつ、様々な障害を解決しながら謎を明らかにしていきます。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

ゲーム「Maid of Sker」のストーリーは、冒頭でご紹介した通り、いくつもの創作物や歴史的事実が融合して作られています。

 

なのでゲーム中には禁断の愛、拷問、超自然現象など、種々雑多なホラー要素が登場し、これが「Maid of Sker」を一味違ったホラーにしています。

 

そんな、ホラー要素のバーゲンセールのような本作に期待ですね♬