呼吸

 

ダイビングでの息苦しさ

ダイビングは水中世界でのアクティビティであるため、基本的に呼吸は道具に頼ることになります。

 

陸上では運動をしたとき、緊張感に襲われているとき、病気の症状が出たときなど、いろいろなタイミングで呼吸が苦しくなることがあります。

 

2018年の7月に話題になった、タイの洞窟内遭難で死亡してしまった救助ボランティアの男性も、救助スタッフが多いために酸素濃度が下がった洞窟内で重いタンクなどを持ち歩くという重労働の末、酸欠になって亡くなってしまいました。

 

 

これが医療機関に近い陸上であればまだ助かる確率は上がるのですが、海の中で同じことになってしまえば命の危険はさらに増します。

 

今回は、ダイビング中に呼吸が苦しくなる理由と、それが苦手な人の対処法などをいくつかまとめてみました。

 

 

動きすぎている

運動

陸上でも、背伸びをしたり激しい運動をすれば動悸が激しくなり、呼吸してもしても苦しいということがあります。

 

人が苦しくなるのは「酸素が少なくなるから」ではなく体内の二酸化炭素の割合が増えることによるものですが、激しい運動をすればやはり酸素の供給が間に合わなくなり、結果的に二酸化炭素の割合が増えて苦しくなってきます。

 

ダイビングではエントリーの際に一番この手の息苦しさを覚える傾向があります。

 

ウェイト不足やマイナス浮力などの原因によって潜れなかったり、水面でフィンを履こうとしてバランスを崩してひっくり返ってジタバタしていると、ここだけで呼吸が早くなり、残圧も見てわかるくらい減ります。

(→関連記事:潜れない場合の対処法

 

また、水中でもロストしたり強い流れに流されてしまったりしていることに気付けば不安感が襲ってきて、次第に呼吸が早くなって視覚狭窄が起こり、パニックに繋がります。

 

 

これを防ぐために大切なのが、オープンウォーターコースでも習う「stop→think→act」の流れです。

 

まず、せわしなく動けばどんどん深みにはまっていき、取り返しがつかない事態になってしまう可能性があります。

 

なのでトラブルが発生してもまずは➀止まって落ち着き、⓶対処法を考え、⓷それから冷静に行動に移りましょう。

 

 

また、タンクの空気をケチったり中性浮力を取っているために過度に息を止めていれば、真っ先に脳が酸欠になります。

 

そうなると頭痛や、突然のブラックアウトなど、水中ではいずれも危ない症状になって表れることがあるので注意が必要です。

 

ダイビングにおいて、呼吸を止めていいのは潜行時に肺から空気を吐ききるという時だけです。

 

これを覚えておき、水中ではしっかりと呼吸を続け、激しい動きは控えていきましょう。

 

病気がある

「気胸」という病気をご存知でしょうか?

 

日本呼吸器学会では、気胸を以下のように説明しています。

 

気胸とは、胸の中で肺を包む胸膜(肋膜)腔の中に空気がたまる状態です。気胸になると息を吸っても肺が広がりにくく呼吸がうまくできません。最も多い原因は自然気胸で10-30代のやせ形の男性に好発します。

 

この状態でダイビングをしてしまうと、水中で突然呼吸困難になって意識を失ったり、胸膜腔の中の空気が他の臓器を圧迫して苦しくなったり、浮上中に過膨張になったりしてしまいます

 

なので原則、気胸のある人はダイビングは禁止とされています。

 

陸上でもたまに息苦しくなったりするやせ型の男性は特に注意が必要で、ダイビングをする前に医師の診察を受けておかないといきなり水中で問題に巻き込まれることになります。

 

また、気胸になってもダイビングができるほどに完治する人もいますが稀です。自然気胸は再発することもあるので、心当たりのある方は定期的に調べておくことが必要です。

 

もしこれを隠してダイビングをし、事故を起こしてしまえば、イントラやガイドが責任を問われる可能性があります。(ダイビング前に注意事項を書いた紙にサインさせるのは、万が一の際に責任の所在をはっきりさせるためでもあります)

 

深度が深い

深い場所

深い場所でも、呼吸は苦しくなります。

 

これは、深度下で高圧ガスが圧縮され密度が高くなった結果、レギュレータで空気を吸おうとしてもスムーズに流れなくなることによるものです。

 

また、空気の流れのスピードが上がれば、呼吸抵抗も増加します

 

つまり深度下で、行き苦しさを覚えてもっと早く吸おうとすればするほど、疲れてエアを浪費してしまうということになります。

 

これが、深度下で長く潜っていられない理由の一つです。

 

また、深度下では窒素の密度も同じように増すため、浅場と比べてものすごいスピードで窒素が体にたまっていきます。

 

こうなれば減圧症の危険も増すため、やはり深度下にはあまりいられないということになります。

 

後述しますが、深度下では焦った吸い方をせず、大きく深い呼吸をするようにしましょう。

そうすれば呼吸抵抗は減るので、ずいぶん楽になります。

 

器材のメンテナンス不備

雑なダイビングショップ(特に海外に多い)で器材をレンタルすると、それがオーバーホールされていない故障品であったりすることがあります。

 

特にレギュレータは大事で、そのまま使っていれば高圧ガスを減圧する機構が働かず、ある深度下でいきなり呼吸できなくなったり、フリーフローをおこしてあれよあれよと残圧が減っていってしまうことがあります。

 

こうなってくると非常に危険で、バディのオクトパスを借りなくてはいけないことになり、バディにも危険が及びます。

 

これが、メンテナンスの行き届いたMy器材を持っておくか、信頼のおけるダイビングショップを選ぶことの重要性にもつながります。

 

 

レギュレータが壊れれば「息苦しさ」どころの話ではなくなるので、ぜひ以下の重要性を追求してみてくださいね♬

 

呼吸のペース

泳げない

この写真はもはやパニックになっているように見えなくもないですが、もちろんこういった呼吸は厳禁です。

 

先述のとおり、水中では深くなるにつれて呼吸抵抗は増し、呼吸のペースを上げることでも吸いづらさを感じます。

 

結果的に息苦しさや視覚狭窄、パニックに繋がるので、水中では大きくゆっくり深い呼吸を続けていきましょう。

 

そして、どちらかというと吐くほうに重きをおきます。

 

ゆっくり(限界までではなくていいので)吸い、ゆーっくり履いていきます。

 

こうすると呼吸抵抗も減り、残圧ももつようになるので、ストレスが少ない状態で長くダイビングを楽しむことができるようになります。

 

 

では、ここまでありがとうございました。

 

ダイビングでの息苦しさにはいろいろ原因がありますが、水中であるという特質上、そのどれもが危ないものです。

 

安全に楽しく潜るためにも、ぜひ呼吸のペースに気を付けていってくださいね♬