小屋

 

今まで数多くのホラー映画を見てきた私ですが、その中でも特に推したい作品が2012年のアメリカ映画「キャビン」です。

いわゆる「ホラー映画のお約束」を詰め込みながらも先が読めないストーリーになっており、他のホラー映画のオマージュを複数組み込んでいるのも本作の特徴といえましょう。今回はそんなキャビンをご紹介します。ネタバレをガッツリ含みますのでご注意くださいね。

 

【あらすじと感想】

週末を山奥の別荘で過ごす計画を立てた大学生の男女5人組。キャンピングカーで目的地に向かうも道中で怪しげな老人に会ったり、別荘である古びた小屋もどことなく不穏な雰囲気。不気味な絵画や謎のマジックミラーがあったりで違和感を感じつつもバカンスを楽しむ5人だったが、突然地下室への扉が開く。

そしてそこにあった謎のノートに書かれた呪文を読んでしまったことにより、封印した怪物を復活させてしまう…のだが、これらはすべてとある組織の「シナリオ」に沿った展開だった。

 

 

まずはこれを先に言わせてほしいのですが、主人公・デイナがとにかくカワイイ。ホラー映画のヒロインってカワイイ系の女優さんが多いのですが、ここまでの美女ヒロインは見たことがありません。キャビンはどんな人にオススメなの?と言われたら私は「ホラー映画をよく見る人」と「可愛すぎるヒロインが見たい人」と答えますね。それぐらいデイナ役のクリステン・コノリーがカワイイのでそれだけでも本作を見る価値があると思います。本題に入る前の序盤のちょっと退屈なシーンもディナの可愛さで気にならないのがキャビンのすごいところ。特に最初のショーツ丸出しディナなんて出だしからサービスが良すぎますよ。100点満点です。

 

さて本題に戻りましょう。キャビン大好きな私が思うこの作品の良さをざっくり三つに分けると

  1. 「笑ってしまうほどホラー映画あるあるが出てくる点」
  2. 「他のホラー映画のオマージュが数えきれないほど組み込まれている点」
  3. 「全キャラクターの愛らしさ」

です。

 

前者二つはホラー映画ファンへのサービスともいえるような演出。ド定番の展開、って一見飽きてしまうように思えるのですがキャビンは飽きさせません。寧ろそのあるあるシチュエーションが起こる理由をつけることによってなるほどな~と思わせてしまう部分があります。

 

例えば金髪女の頭が悪いのは染髪剤にバカになる薬が入ってるからだとか、森の中でカップルが良い雰囲気になるのは霧のフェロモンを受けているからだとか、クリーチャーを倒したあと握っていた武器が手から落ちてしまうのは微量の電流が流れているから、などなど。ただのあるあるだけで済ませないのがキャビンです。そういうメタさがいいんですよねえ。

 

そして本作一番の見せ場であるラスト20分!殺戮のエレベーターシーン!デイナとマーティの反撃で画面が赤く染まるほどの大惨劇になりますが、ド派手すぎていっそ清々しい。エレベーターのチーン!と鳴る音もシュールで、すさまじいシーンなはずなのに気が抜けてしまうような音に思わず笑っちゃうんですよね。ここで倉庫に収納されていたクリーチャーが次々と出てくるのですが、ホラー映画を見ていれば見ている人ほどアッ!コイツ見たことあるぞ!って嬉しくなっちゃうような、ホラーファンの心をくすぐる場面になっています。どの作品から何が出てきているかはまたあとで詳しく書きますが、思わずテンションが上がってしまうこと間違いなしな大出血サービスシーン!(物理)です。

 

また、組織の言う「古き神々」が何者なのかは明確にされておりませんが、「大昔に地上を支配していた」=「旧支配者」と思われる言い回しや、ラストの巨大な手からクトゥルフ神話の神々かな?と想像できます(旧支配者の一柱・クトゥルフは巨大な手足を持っているとされているため)ついでに言うと終盤に出てくる地下室の床に五芒星が描かれているのですが、五芒星はクトゥルフ神話において旧神の印。

 

ホラー映画における生贄の数も定番が5人なので、それに掛けているものとも考えられます。でもメタみのある作品ですから「神々=観客=視聴者の我々」という解釈もできるんですよね。ホラー映画におけるお約束こそが視聴者の望むもの。カートとジュールズが森でイチャイチャするシーンなんてまさにそれですしね(笑)

 

 

 

そしてどのキャラクターも個性的かつ魅力的なのも本作の特徴。主人公・デイナに関しては先にも書きましたがとってもカワイイです。お顔もですが仕草や反応がいちいち可愛らしい!なのにゾンビに反撃したり、組織に抵抗する強さも兼ね備えている。その勇敢さはデイナを殺そうとしたハドリーですら「彼女のことを応援したくなる」と言わせてしまうほど(その気持ちもテキーラには負けましたが)

 

個人的にディナが一番好きですが、愚者・マーティもすごく良いキャラですよね。ハッパの煙で中が真っ白な車に乗って登場し、コイツかなりヤバいな…と思わせておいて実は5人の中で一番勘が鋭く、地下室を物色する4人に「早くここを出た方がいい気がする」「ラテン語は読まない方がいい」とまるで視聴者の気持ちを代弁するかのように不安がったり(この辺の発言がちょっとメタいんですよ)、組織のことを「人形使いだ」などと比喩して陰謀をいち早く察したり…組織的には愚か者の扱いですがかなりのキレ者。後半の勇ましい様なんて、序盤
のラリってる様やユーモアたっぷりな発言からは想像できないほどカッコイイです。このギャップがも~~~最高!カートよりマーティの方がよほど戦士なのでは?(笑)余談ですが日本語吹き替えだと今は亡き桜塚やっくんがマーティを演じています。これがまたハマり役で味があるので、字幕しか見ないという方もぜひ吹き替えでご覧になってみてくださいね。

 

ちなみに本編ではあまり触れられてないのですが、若者5人組はおそらく全員秀才の類。ディナは序盤のシーンで経済系の難しそうな本を持っていこうとするし、そんなディナに「こっちにしておけ」とこれまた難しそうな本を渡すカートは社会学選考。

 

ホールデンはラテン語が読める上にカートいわく「ガリ勉」(薬のせいでちょっと乱暴な物言いになってるが、実のところもそれだけ勉強熱心で真面目なのでしょう)ジュールズに関しても、彼女が金髪になったのを見たディナが「思い切ったわね!」という発言から普段はそんなキャラじゃなかったことと、マーティが「ジュールズが急にエロくなった」と言ってるので元々はお色気キャラじゃないこともわかります。

 

マーティはハッパでラリってこそいますが小難しい持論を語ったり、先にも書きましたが5人の中で唯一鋭かったりとラリってさえいなければもしかしたら一番頭が良いのかもしれません。ホラー映画のお約束であるただの「愚者」や「淫乱」のように見せかけて実はそうじゃなかった、という細かい設定も本作ならではだと思います。

とはいえ細かすぎて一回見ただけじゃ気付きませんよね!深いぞキャビン!

 

組織側でいえば管制室のシッターソンとハドリーの親友コンビも、「世界のために人々を殺す人間」とは思えないほど愉快で愛嬌のある2人。ハドリーが新人のトルーマンに「シッターソンはちゃん付けで呼べ」なんておちゃらけるところや、2人でガソリンスタンドの男をからからって笑う姿なんてまるで小学生のようで微笑ましいとすら思ってしまいます。カワイイかよ。

 

神々のためにデイナ達を殺そうとしているのに、どうしても憎めないんですよね。ハドリーの半魚人フラグ回収もお見事で、死に際まで個性たっぷりな男です。キャビンってホラー映画あるあるを集めているのに、あるあるな「嫌な奴ポジション」がいないので、このキャラ嫌い!ムカつく!イライラする!と思う場面がない。そういういやらしさがないから、クリーチャー含めて登場人物全員いいな~好きだな~、と思える作品になっているんだと思っています。皆愛しい。

 

 

【オマージュ作品について】

一番最初にも書きましたが、本作は他のホラー映画のオマージュが多々含まれています。まずベースになっている作品は「死霊のはらわた」ですね。

 

序盤の展開である「若い男女5人が山奥の別荘に遊びに行く」という設定自体がまんま死霊のはらわたであり、死者(ゾンビ)を復活させる呪文や、地下室への扉などもこの作品のオマージュ。さらに細かいところでいえばキャビンの原題である「The Cabin in the Woods」は、死霊のはらわたの監督であるサム・ライミが大学生時代に制作した短編「Within the Woods」から付けたものと思われます。

 

 

また、タイトルコールも「ファニーゲーム」のオマージュですし、怪物倉庫は「CUBE」ジュールズが暖炉の前で踊る姿は「ウィッカーマン」マーティが聞いた囁く声は「悪魔の棲む家」クリーチャーが放たれたことに絶望した女性が拳銃自殺を図るシーンは「セレニティ」過去に化学班が失敗したのは「パラサイト」黒幕に関しては「宇宙人ポール」(しかもキャストまで一緒)などなど。

 

本編の話じゃないんですがキャビンの宣伝ポスターである山小屋の写真も「ヘルレイザー」のルマルシャンの箱のようになっていたりと、わかりやすいものから見逃してしまいそうなほど細かい部分までオマージュのオンパレードなのです。

 

ちなみに賭けられていたモンスターはちょっとだけ映るホワイトボードに書かれています。名前とオマージュ作品は以下の通り(オマージュでない一般的な怪物は作品名を載せていません)

  • ・狼男
    ・エイリアンビースト(エイリアン)
    ・ミュータント(ヒルズ・ハブ・アイズ)
    ・幽霊(13ゴースト)
    ・ゾンビ(ゾンビorナイト・オブ・リビングデッド)
    ・レプティリカス(Reptilicus)
    ・ピエロ(IT)
    ・魔女
    ・セクシーな魔女(The Witches of Breastwick)
    ・悪魔(Night of the Demon)
    ・ヘルロード(ヘルレイザー)
    ・怒れる強姦樹(死霊のはらわた)
    ・大蛇(アナコンダ)
    ・デディッツ(死霊のはらわた)
    ・ケビン(少年は残酷な弓を射る)
    ・ミイラ男
    ・花嫁(The Blood Spattered Bride)
    ・スケアクロウ(Dark Night of the Scarecrow)
    ・スノーマン(キラー・スノーマン)
    ・ドラゴンバット(ブレイド2)
    ・バンパイア(吸血鬼ノスフェラトゥ)
    ・切り裂きゴブリン(グーリーズorゴブリン/プチ魔獣の逆襲)
    ・シュガープラムフェアリー(くるみ割り人形)
    ・半魚人(大アマゾンの半魚人)
    ・リアニメーター(ZOMBIO/死霊のしたたり)
    ・ユニコーン
    ・ヒューロン(インディアン)
    ・サスクワッチ、インディエゴ、イエティ
    ・ドールズ(ストレンジャーズ 戦慄の訪問者)
    ・医者(TATARI タタリ/呪いの館)
    ・拷問する田舎者ゾンビの家族/バックナー家(ゾンビや悪魔のいけにえ、ヘルレイザーやヒルズ・ハブ・アイズなどをかけあわせたゾンビ)
    ・ジャック・オ・ランタン
    ・巨人
    ・双子(シャイニング)

 

 

補足ですが地下室にあった小道具と関連するクリーチャーも以下の通り。

  • ・球体パズル→ヘルロード
    ・オルゴール→シュガープラムフェアリー
    ・ネックレス→花嫁
    ・法螺貝→半魚人
    ・マスク→ドールズ
    ・ドラム→ヒューロン
    ・ジャック・オ・ランタン→ジャック・オ・ランタン
    ・(儀式用の)短刀→ミイラ男
    ・ガスマスク→ミュータント
    ・テレスコープ→ブロブ

日本作品からは「リング」の貞子と似た幽霊が登場します。といってもテレビから出てくるわけではなく、最後は蛙にされてしまうなどオリジナルの貞子とは異なりますが、監督いわく大好きな作品なので敬意を表して登場させたそうです。

また、一瞬しか映りませんが失敗に終わった他国の映像にもオマージュ作品が使われており、ストックホルムは「遊星からの物体X」ブエノスアイレスは「キングコング」マドリードは「ドラキュラ」というラインナップ。

その他ホワイトボードに書かれてはいないけど倉庫や殺戮現場にクリーチャーが出ているオマージュ元は「ブロブ/宇宙からの不明物体」「Eight Legged Freaks」「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」「テンタクルズ」「ヴァイラス」(もしくはキルボット)「妖怪巨大女」「ファイヤーフライ 宇宙大戦争」などなど。ゲームでは「F.E.A.R.」と「Left 4 Dead」がオマージュとして使われています。

 

 

やはりオマージュというのは元ネタを知っててこそ!なので、知らない作品がありましたらぜひ見てみてください。

とはいえ元ネタが多すぎて私もまだまだ勉強中です…しかし冷静に考えると90分作品にトータルで50タイトルを超えるオマージュ詰め合わせですよ?どう考えても多いわ。そして全部わかった人は自信を持ってホラーマニアを自称していいレベルだと思います(いるのだろうか???)

 

【キャビンと似ている映画】

私的に、キャビンおもしろかった!好き!と思われた方に見ていただきたい映画が「サプライズ」。

 

両親の結婚記念日をお祝いする家族パーティーに参加した次男クリスピアと彼女のエリン。しかしパーティーの最中に突然動物のマスクを被った謎の集団が乗り込み、一家をパニックに追い込む…というB級感満載のストーリーなのですが、それだけで終わらないのがこの映画。

 

設定がありきたりなのに、逆転劇の意外性というかぶっとび感が見ていて楽しい点はキャビン同様。また、ディナのようなかわいくて強いヒロインが見たい人にもオススメです。寧ろディナより圧倒的に強いのでサバイバー系武闘派女子が好きな人にはホントオススメ。予告でもこの作品にはエネルギーがある!な~んて評価されてますが、いやまさにそんな感じです。

 

後半の爽快感というかわくわく感が楽しい。こちらの作品は幽霊や妖怪の類は一切出ませんので、心霊系ホラーが苦手な方でも見れるかと思います。ただR-15作品のため一部過激な描写がありますのでそこだけご注意を…(でもキャビンが見れる方なら問題ないかな~と)そしてエンドロールのセンスがすごくイイのでご覧になられる際はぜひ最後まで見てくださいね。

 

【まとめ】

ホラー映画でありながらもコメディ要素が多いので、怖いのが苦手な方でも見れるのが本作。

怖いのがダメだから見ない…ではもったいないほどおもしろい映画なので、普段ホラーを見ない方にもオススメです(実際に、ホラー映画は見れないけどキャビンはおもしろい!と家族に好評をもらったことがあるので!)周りにまだ見てない方がいましたらぜひ勧めてみてくださいませ。一人で見るのも良いですが、ホラーが好きなお友達とワイワイ盛り上がりながら見るのも楽しい作品ですよ。

 

それではここまでお読み頂きありがとうございました!